◎ 綴 方 教 室 ◎


             「うつくしきもの」

     四季折々の花を庭に咲かせ、花を見ることが好きな私のため。
     玄関、居間、トイレには、一日たりともお花を欠かしたこともなく、

     いつも私の時間に合わせ、温かい出来立ての食事を作り、
     脱線しかかるとやんわりチクリと針をさし、

     私の健康管理のドクターとして、
     自分の痴やストレスを表に出さず、

     常に私のやりたいことを熟知していて、
     それとなく仕向けてくれる。

     今まで家を省みず仕事の鬼として生きてきて、
     ワンマンで偏屈で聞く耳を持たず、決して良き夫でなかった私は

     今女房殿に感謝し、得てきた功績と勲章をそっくり女房殿に
     改めて渡し、この「うつくしきもの」を今度は女房殿に捧げよう。

     このような日々を迎えることが出来、
     「幸せのなんたるか」を知らしめさせてくれたのは、
     結婚以来、日々陰になり尽くしてくれた女房あってのこと。

     なのに、今まで全てを仕事優先で粗末に扱い、
     お宝と気づかなかった私は、愚かさと、恥ずかしさでいっぱい。

     でも、これからは胸を張って、生きてゆける。
     女房と二人三脚で。

     私は、おお馬鹿者だけれど、幸せ者です。

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